光文社
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同世代にも薦めたい
必読の1冊
就職市場が学生の超売り手市場だった1987年3月、私は大学を卒業しました。
当時はまだ「ニート」は勿論のこと「フリーター」という言葉さえ存在していませんでした。
ようやく「フリーアルバイター」という言葉が使われはじめた頃です。
若者に対し「新人類」なんていう言われ方もしていた頃です。
そして私は大学卒業後、「フリーアルバイター」という道を選択していました。
今では、売上高9兆円・従業員数34万人になろうかという、大企業に勤めていた大学の先輩からの、ありがた〜い推薦を蹴って。
当時の自分に何の確証や自信があったのか思い出せませんが、その頃はまだ健在だった年功序列・終身雇用に対して、自分の意志でハッキリとNoを選択したのは間違いありません。
「今の日本、サラリーマンにならなくても餓死することはないだろ」
と、よくうそぶいていたものです。
その言葉は、会社という得体の知れないものに飲み込まれてしまう、漠とした恐怖の裏返しだったのも事実です。
そしてアルバイトで働きはじめた頃よく考えていたのは
「これからこういう生き方をする人が増えるはずだから、あとから来る人たちの迷惑にならないようにしよう」
ということです。(実際にあとから来た人の中に、自分の意志で選んだのではなく、社会情勢によってその道を選ばざるを得なかった人が多かったのは、とても残念なことです。)
30歳になって
「今なら会社というものに飲み込まれずに済むかもしれない」
と思えた私は
「サラリーマン一回くらいやっとくのは悪くないかも」
などと、うそぶきながらはじめてサラリーマンというものを経験し、7年ほど勤めたあと独立という道を、当然のように選択しました。
そんな道を進んできた私にとって、本書に書かれていることで驚くべきことはなく、むしろ今よく売れているという事実や、読んだ人の反応の方が不思議にさえ感じられます。
全員がレールを降りる選択をできるわけはないでしょうが、著者が言うとおり、本書を読んだ若者の中から、一人でも多くレールを降りる人が増えると、もっと面白くなるんじゃないのかなという気がしてなりません。
他人が敷いたレールの上を走る限り、時間も収入も税金も自分でコントロールできませんが、自分で決めた道ならば自分でコントロールできることが、とても増えるのです。
収入なんて、他人のレール上では足し算・引き算の世界がつづくだけですが、自分の道になったとたん掛け算・べき乗の世界になってしまうのです。
この話をすると、
「掛け算は0を掛けたらいきなり0になってしまうから怖い」
という反応をする方もいらっしゃるかもしれません。
でも、足し算のつもりでいる会社のレールの上も、結局は巨大な掛け算の世界の中に存在しているのです。大きな掛け算の中の、カッコで括られた足し算にすぎないのです。
そして、カッコの中に括られた状態でいると、他のカッコ内に0やマイナスがあるというリスクに、気づきにくくなってしまうんじゃないかと思うのです。
私にとっては、リスクもしっかりと自分で見ることのできる自分の道の方が、他人の敷いたレールよりもはるかにハッピーに思えます。
そうは言っても、他人のレールを走りつづける人が大多数なんだろなと思いつつ、こちら側に来る人が少しでも増えることや、他人のレールを走りつつもそのレールを少しでもいい方に改善しようという意志を持って何がしかの行動を取る人、レールが突如終わったとしても大丈夫なように準備をしておくような人が増えることを期待しておきたいです。
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