大月書店 (1996/03)
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家庭教育のバイブル
子供を持つ人には必見の教育論
パソコンのインストラクターを始めて、私が一番強く自分自身で「そうか!」と思った瞬間は、パソコンを苦手としている方の主たる原因に気づいたときです。
パソコンが苦手な方の中に、実は、日本語を読むことが苦手な方が多く含まれているのです。
パソコンを苦手とする方へのインストラクションの現場で行われていることを冷静に分析してみると、テキストに何が書いてあるかを読み聞かせることと、パソコンの画面に表示されている日本語が何を意味しているかを読み聞かせしている割合が、とても多いのです。
パソコンを苦手としている方が、
「テキストに書いてあることがわからない」
「パソコンの画面に表示される言葉の意味がわからない」
とおっしゃるのを、パソコンインストラクターの方なら何度も耳にしていることでしょう。
そしてその解説(読み聞かせ)をしてあげると
「あ〜そういう意味ね」
という反応も何度も目にしているはずです。
でもその解説は、基本的にテキストに書かれていることや、画面に表示されていることと、内容的には同じことを言っているだけなのです。
そして我々インストラクターは、テキストに書かれていることや、画面に表示されていることを読んで理解しているのです。決してすべて暗記して解説しているわけではありません。
違いは、日本語で書かれていることを読んで理解できるかどうかです。
その意味で、本書「見える学力、見えない学力」は、非常に考えさせられる本だと感じます。
本来は、小学校までの子供の教育現場にいる方(つまりはお父さん・お母さん・学校の先生)向けの本ですが、パソコンインストラクションという主に大人を対象とした教育現場にいる方にとっても、参考になる部分が多いと感じるのです。
「読むことぬきには、新しいことを一切学ぶことはできません。」(P151)
という言葉はパソコンインストラクションを真剣に行っている方なら、とても納得できる一文だと感じます。
メッセージボックスに書かれていることを読んで理解しなければ、希望する操作はできません。
ダイアログボックスに書かれていることを読まずに、脊髄反射的にボタンを押しているうちは決してパソコンは上達しません。
パソコンがもっともっと上達したければ、どこかで必ずヘルプを読めるようにならなければなりません。
(勿論、メッセージボックス・ダイアログボックス・ヘルプに記述されている日本語が、非常に意味不明であることが少なくないという点は、別の大問題として改善をする必要はあります。)
読めない・読みづらいからと言って読む訓練をしなければ、読めるようになるはずがありません。
本書では、
読む/書く/計算する
を基礎学力の源泉としていますが、
私は、
読む/キーボード、マウスを操作する/計算する
をITスキルの源泉と感じています。
パソコンインストラクションを教育産業・教育サービスの一環と認識している方には、一読をおすすめしたい一冊です。
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