インターネットを使った情報収集についてのインストラクションをさせていただくことがあります。
その中で、インターネットで収集した情報はその検証作業を他のメディアよりも慎重に行う必要がある、といったことをお話しています。
けれども、朝日新聞の虚偽報道などを見ていると、「他のメディアよりも慎重に」なんて言えないなぁと思っているところで、ちょっと気になる記事がありました。
『昼寝15分で成績アップ? 高校で調査「能率上がる」』という記事です。
はてなブックマークで20人ほどの方がブックマークしていたり、まあまあの注目度でしょう。
asahi.comの記事でのポイントは、
でも、これ、どうです?
記事にするほどのことですか?
多くの人が、なんとなく思ってたことのデータに過ぎないんじゃありませんか。しかも、数値化できる何かを計測したというのでもなく、それほど面白くもないアンケート結果ですよ、これだけだと。
私はこの記事をWebで見たとき、かなり違和感を感じました。
日経新聞の8月30日夕刊(4版)22面の、同一ソースと思われる記事を先に読んでいて、記事のポイントが随分違ったためです。
日経新聞でのポイントは、
「昼寝は眠くなる前に」
という見出しまでおどっています。
その根拠となっている数値データで、日経新聞に掲載されている部分をまとめると、以下のようになります。
調査対象
週1回以上、昼休みに15分間「昼寝」した生徒:208人
週1回以上、5時間目終了後「午後寝」した生徒:149人
まったくしなかった生徒:595人
昼寝組 | 午後寝組 | 昼寝なし | |
---|---|---|---|
授業に集中できている | 61% | 44% | 46% |
午後、頭がスッキリしている | 46% | 38% | - |
勉強にやる気があるか | 61% | 49% | - |
「午後、頭がスッキリしている」「勉強にやる気があるか」の昼寝なし生徒の回答データは掲載されていませんが、「午後寝と昼寝ゼロはほとんど差がなかった」とのことです。
日経新聞の内容なら、記事にする意味があると思うのですよ。
同じ昼間に短時間眠るのでも、眠気が来る前か後かによって違いがあるというアンケート結果ですから。
そもそもasahi.comでは、週1回以上5時間目終了後「午後寝」した149人と、まったくしなかった595人を合算して、昼寝をしなかった計744人として、これを昼寝した208人と比較したことになっています。比較するサンプル数が3.5倍以上違うという時点で、なんだか妙な調査に思えてきます。
あ〜、一次ソースが気になります。
日経新聞によれば、内村助教授が「適切に昼寝をした生徒は成績に対する好影響もみられており、2学期は3ヶ月以上かけて成果を調べたい」と話しているとのことですから、アンケート調査だけでなく、成績との相関も含めたレポートが公開されるのを期待しておきましょう。
勿論、私のこのネタも、「日経の記事の方が何だか信頼できそうだなぁ面白いなぁ」という勝手な思いのもとに書いた、インターネット上の書き込みにすぎませんから、十分な検証の必要があります。
ということで(?)はてなの近藤社長も、どうせ昼寝するなら眠くなってきた3時頃より、午後一の方がいいかもしれないですよ、と思ってみたり...。
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