このサイトでは先日、IRR関数とNPV関数の関係についてご紹介しました。
そのネタの最後に、正味現在価値を計算する数式から試行錯誤することで、IRR関数を使わずにIRR(Internal Rate of Return・内部収益率)を求められることを示唆させていただきました。
その具体的方法、IRR関数を使わずにIRRを求める方法をご紹介しましょう。
ゴールシークを利用してIRR計算を行う方法です。
NPV(正味現在価値)を求める数式を作っておいて、ゴールシーク機能を使ってIRRを求めることができます。
※C3セルに初期投資額、C4:C6セルに1年目から3年目に生み出されるキャッシュフロー、D11セルに「=NPV(C11,C4:C6)+C3」という正味現在価値を計算する数式が入力されているときに、「C11」セルにIRRを求める例 [ゴールシーク]ダイアログ−
[数式入力セル]に「D11」セル
[目標値]に「0」
[変化させるセル]に「C11」セル
を指定後[OK]ボタンをクリック
↓
結果の表示された[ゴールシーク]ダイアログで[OK]ボタンをクリック
[ゴールシーク]ダイアログは、
2003までのExcelならメニュー[ツール]−[ゴールシーク]から、
Excel 2007なら[データ]タブ−[データツール]グループ−[What-If分析]−[ゴールシーク]から
表示できます。
ゴールシークを使うと、計算結果をいくつにしたいのかを決めて、その結果にするためには数式に与える元の数値をいくつにすればいいのかを求めることができます。
IRRというのは、NPVが「0」となるような割引率ですから、正味現在価値を計算する数式を作成しておいて、計算結果(=NPV)が「0」になるように指定するわけです。
D11セルに「=NPV(C11,C4:C6)+C3」というNPVを計算する数式が入力されているので、[ゴールシーク]ダイアログ−[数式入力セル]に「D11」セルを指定し、計算結果(=NPV)が「0」となるときの割引率を知りたいので[ゴールシーク]ダイアログ−[目標値]に「0」を指定しています。
数式「=NPV(C11,C4:C6)+C3」の「C11」セルの値を変化させて結果を求めたいので、[ゴールシーク]ダイアログ−[変化させるセル]に「C11」セルを指定しています。
▼サンプルファイル(003402.xls 43KByte)ダウンロード
サンプルファイルの「IRRとNPVの関係」シートには先日ご紹介したIRR関数とNPV関数との関係が、そのまま残してあります。
「ゴールシーク_実行後」シートはその「IRRとNPVの関係」シートを元に、上記の手順でC11セルにIRRを求めた状態になっています。
「IRRとNPVの関係」シートをコピーして、D11セルの「=NPV(C11,C4:C6)+C3」という数式を残し、C11セルとC12:D17セルの値を削除してから、上記の操作を実行したあとの状態です。
C11セルにゴールシークで計算された値が入力されています。
ゴールシーク機能を使って求めたC11セルと、IRR関数の入力されているC8セルの値がセル上は同じであること、C11セルには「4.47997707250764%」という小数点以下のかなり細かな数値まで計算されていることなどを、ご確認ください。
実行結果をご確認いただけたら、実際に「ゴールシーク_練習」シートを使って上記の操作をお試しください。
D11セルには「=NPV(C11,C4:C6)+C3」というNPVを計算する数式を入力してあります。
この数式の意味がわからないという方は、まずはNPV(Net Present Value・正味現在価値)の計算についてご理解ください。(NPVの計算方法がしっかりわかっていないと、今回のネタは理解しようがありません。)
ゴールシーク機能をはじめて使うという方は、今回の例にいきなり取り組むと大変でしょうから、まずは思いっきり簡単な例でゴールシーク機能に慣れていただくことをおすすめします。
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