Excelには、財務関数と呼ばれている関数群があります。
ファイナンスの知識がある方にとっては難しくないものですが、会計・財務的な知識のない方にとってはわかりにくい関数と言っていいと思います。
たくさんの種類がある財務関数の中で、特に、PMT関数についてご質問をいただくことが多い印象を持っています。もっとわかりにくい関数もあると思いますが、使用頻度と難易度の関係から、PMT関数についてのご質問が多いのでしょう。
基本的な財務関数について記述されている書籍では、FV関数とPMT関数が取り上げられていることが多いのですが、FV関数についてはご質問をいただくことは少ない印象を持っています。
おそらくFV関数の方が身近な例で取り上げられていることが多く、PMT関数よりも理解しやすいからなのでしょう。
FV関数とPMT関数は、似ている部分もありますから、比較的わかりやすいFV関数を、もっとしっかり理解してからPMT関数にチャレンジする方がいいんじゃないかと考えています。
まずは一番シンプルかつ身近な例で、FV関数を理解しておきましょう。
FV関数はFuture Value(将来の価値)を求める関数です。
FV関数のもっとも単純な計算例は、定期預金にお金を預けたら、数年後に元本(元の預けたお金)と利息を合わせていくらになるのかという計算です。そのときの利息は複利で計算されます。
ここでまず会計・財務的な知識の少ない方が理解しておくべきことは、「複利」の概念です。
一言で言ってしまえば、元本だけでなく利息にも利息がつくのが複利です。
(元本にしか利息がつかない利息を「単利」と言い、単利ならば元本と利率と期間を掛け算すれば利息が計算できます。それに元本を合計すれば元利合計が求められます。)
FV関数を使うと、複利の場合の元利合計額を簡単に求められます。
※B2セルに利率、B3セルに期間、B4セルに預入金額(現在価値)が入力されているときに、B5セルに将来の受取額(将来価値)を計算する例 B5セルに
「=FV(B2,B3,,B4)」
という計算式を入力する
FV関数には5つの引数を指定できますが、今回のような例ならば引数は3つだけ与えればOKです。
第1引数に利率
第2引数に期間
第4引数に現在価値=預け入れる金額
を指定します。
今回の例ならば注意点は第4引数だけです。
第4引数にはマイナスの値を指定してください。
財務関数で躓く方の中に、何故マイナスの値を指定するのかを考えすぎてしまうタイプの方がいらっしゃいますが、あまり深く考えてもしょうがありません。
ExcelのFV関数はこのように作られているからです。
ここでマイナスの値を与えることに悩むのならば、なぜ第1引数に利率を指定して、第2引数に期間を指定するのかを考えてみてください。なぜ第1引数で期間を指定して、第2引数に利率を指定するようになっていないのでしょう。
それは、FV関数を作った人がそう決めたから、という程度の理由しかないはずです。
第4引数でマイナスの値を指定するのもその程度の理由しかないと割り切ってください。
ただ私はイメージとして、FV関数では自分の手元にある財布が基準になっていて、預け入れをするというときは少なくともその手元の財布からはお金が出て行くのでマイナスで指定するんだ、といった納得をしています。
もう一つ、第4引数の「現在価値」という表現もちょっと難しいところかもしれませんが、第4引数は、今自分の財布から出て行く預け入れ金額=現在の金額・価格で、現在の金額・価格・価値を意味しているので「現在価値」と言うのだとご理解ください。
財務関数が苦手という方は、まず、今回のようなFV関数のわかりやすい例で、第4引数の現在価値が預け入れ金額で、マイナスの値で指定するのだということを、しっかり理解することが重要だと思います。
この例が十分理解できてから、積み立てを行うケースや、利息が年に複数回つくケースを理解していく方がいいと、私は考えています。
それらの例については近日中にご紹介します。
▼サンプルファイル(002294.xls 15KByte)ダウンロード
サンプルファイルでは、FV関数を使わずに演算子だけで、受け取り額=将来価値をB6セルに計算しています。興味のある方は参考までにご覧ください。
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