ジャンルは違えども教育産業に関わる者として、長らく日本の通信教育を牽引してきたベネッセコーポレーションのeラーニングがどんなものなのか興味があり、小学生向けの進研ゼミ「チャレンジタッチ」のタブレットPCを試用させていただいています。
「タブレットPCを使った学習」といわれると、従来からある紙の教材がデジタル機器の中に入ったもの、と捉えられてしまいがちですが、そうではないということを今回の試用で実感しています。
チャレンジタッチの3つの機能
チャレンジタッチには、大きく分類すると以下の3つの役割・機能があると言えそうです。
- デジタル教材
- 学習の継続を支援するツール
- 学習プロセスをリサーチするツール
チャレンジタッチは紙のチャレンジのデジタル版ではない
3つの役割・機能のうち、デジタル教材としてのチャレンジタッチが、もっともイメージしやすいものでしょう。
勿論、従来から存在している紙媒体の進研ゼミ・チャレンジが、単にデジタルコンテンツになっただけのものではありません。
紙メディアには紙メディアの良さがあり、デジタルメディアにはデジタルメディアの良さがあります。
チャレンジタッチのFAQページでも『「チャレンジタッチ」には、タブレット以外に何が付きますか。紙の教材は付きますか。』という質問に対して、
紙の良さとして、「テスト」対策や、なんどもながめたり検索性があって調べたい「ポスター」や「辞典」は、紙媒体のものをお届けしています。という回答が掲載されています。
デジタルメディアの良さを活かせる部分はデジタルコンテンツとしてタブレットPCに配信され、紙メディアに向いているものは紙の教材が郵送されてくるということです。
紙のチャレンジとチャレンジタッチ
チャレンジタッチでも紙の教材が郵送されてくるものが一部あるわけですが、以前から存在している紙の「チャレンジ」も健在です。
現在のところ、ベネッセの運営する進研ゼミ小学生講座には、紙の「チャレンジ」と、今回試用させていただいているタブレットPCを使った「チャレンジタッチ」とが存在しているということです。
紙のチャレンジとチャレンジタッチのどちらか一方を受講するケースが多いとは思いますが、両方を受講することも可能です。
紙のチャレンジとチャレンジタッチのどちらを選ぶのか親御さんの悩みどころのようで、比較ページも用意されています。
ちなみに、チャレンジタッチの記事広告を担当されたネタフルさんのお宅では紙のチャレンジを元々やってらっしゃっていて、日曜アーティストの工房さんのお宅はチャレンジタッチを選んでいらしたようです。
動画と音声つきの教材
チャレンジタッチの教材は、動画と音声を使った授業を視聴してから問題を解く、というのが基本的な学習の流れになっています。
どんな雰囲気なのかは、「チャレンジタッチ」おためしサイトから少しだけですが、知ることができます。
苦手とする教科や予備知識の少ない学習項目の場合、自力で本を読むことは難しいけれど、誰かの解説を聞くことや動画を見ることならできる、ということは極めて一般的なことです。
その意味では、特に自力でテキストを読むことを苦手としているお子さんのほうが、チャレンジタッチは向いているかもしれないと想像しています。逆に本をよく読むようなお子さんの場合、解説を聞くのをまどろっこしく感じることがあるのでなないかという気もします。
このあたりはお子さんの好み、親御さんの教育方針や好みもあるでしょうから、チャンスがあれば一度体験してみるほうがいいでしょう。
タブレットPCならではの教材
タブレットPCであることのメリットをもっとも感じさせてくれるのが、漢字の書き順学習です。
従来の紙ベースの教材では、漢字が正しい書き順で書かれたかどうかをチェックするのは不可能でした。ですが「タブレットPCの画面に文字を書く」ことで、チャレンジタッチでは、書き順までをチェックすることができるようになっています。
今回チャレンジタッチを試用されている方のレポートを拝見しても、この漢字の書き順学習への注目度は高いようです。
同じeラーニングであっても、パソコンを使ったeラーニングの場合この機能を実装するのは容易ではありません。タブレットPCを使ったeラーニングだからこそ実現できたものだと強く感じます。
理科教材への期待
よくできた教材であるからこそ、こうしたほうがいいのではないかと感じる部分もあります。
大人になって仕事をしていく上で、仮説を立て、論理的に検証していくという能力はとても大切です。さまざまな現象から何らかのルールを見つけ出して仮説を立て、その仮説を検証していくという能力です。
義務教育の中でこの能力にもっとも関係が深い科目は理科です。
今回チャレンジタッチの小学校5年生の理科を体験してみて、動画と音声を使った授業はカイゼンできるように感じました。
私が体験した理科の授業では、実験の様子を撮影した動画を視聴できたのですが、解説付きの動画がただ流れるだけになってしまっているのです。
折角、双方向性を持った教材なのですから、実験動画の途中で考えさせる時間を取ったり、観察すべきポイントをヒントとして出すような仕組みが入っているほうが、学習効果を高められるように思います。国語や算数の授業の中ではそんな仕組みが取り入れられているので、理科でも同じような仕組みを採用して欲しいと思います。