「日本のOfficeが変わる」
というコピーとともに2014年10月17日(金)に新しいOfficeが発売になった、といった報道があちこちで行われています。
エンドユーザーの立場から新しいOfficeが出たと聞くと、2014年現在の最新バージョン・Office 2013の次のバージョンが出たと思ってしまうのが自然な反応だと私は思います。
ですが、実は、そうではありません。
2013の次のOfficeはまだ出ていません
2014年10月17日に出た新Officeというのは、Office 2013の次のバージョンではありません。
エンドユーザーがMicrosoft Officeと聞いてイメージする、Word・Excel・PowerPointなどは、相変わらず2013のままです。
Office 2013の次のバージョンが出るのは、2015年後半にリリースされると言われている次のWindowsであるWindows 10が出る前後になる可能性が高いと、私は想像しています。
10月17日に出た新しいOfficeとは
じゃあ、10月17日から何が変わったのかというと、ライセンスや販売形態です。
従来はなかったMicrosoft Officeの売り方が登場したのです。
Word・Excel・PowerPointといったMicrosoft Officeを月単位で利用することのできる権利と、ネットにつながっていないと利用できないサービスをセットにして
「Office 365(オフィス・さん・ろく・ご)」
という名前をつけてMicrosoftは以前から販売しています。
日本では、ビジネスユースのOffice 365は出ていましたが、他国で販売されているようなファミリーユースのOffice 365は発売されていませんでした。
そんなエンドユーザー向けのOffice 365が、今回10月17日に
「Office 365 Solo(オフィス・さん・ろく・ご・ソロ)」
という日本独自の仕様で、発売されたのです。
(Office 365 Soloとはどんなサービスなのかを簡単にまとめました。2014-10-21)
これを新しいOfficeと言っているだけです。
Office本体であるWord・Excel・PowerPointなどは2013のままです。
Office Premium
もう一つ、2014年10月16日(木)以前にはなかった、新しいOfficeの販売形態が登場しています。
日本では、Officeがプリインストールされている家庭用パソコンがとても多く出ています。
このプリインストールされているOfficeに、先ほど述べたOffice 365のサービスがくっついたタイプも登場したのです。
「Office Premium(オフィス・プレミアム)」という商品です。
(Office Premiumとはどんなものなのかを簡単にまとめました。2014-10-22)
こちらも、Office本体であるWord・Excel・PowerPointなどは2013のままです。
Microsoftとしては基本的にはファミリー向けのOffice 365を売っていきたいわけですが、日本ではプリインストールの形で販売されているOfficeの市場が大きすぎるため、いきなりOffice 365に切り替えることはできなかった。
けれども、やっぱりファミリー向け・個人向けのOffice 365は出したい。
この解決策として作られたのがOffice Premiumです。
そして、先に述べたOffice 365 Soloも、このOffice Premiumのことをよ~く考えた価格と製品構成になっています。
MicrosoftとしてはOffice 365を売りたいけれども、いきなりプリインストールOfficeがなくなるのは、パソコンメーカーにとってもマイクロソフトにとっても困る。
そこで、プリインストールOfficeのほうはOffice 365サービスの付属したOffice Premiumという新しいパッケージを作って、個人向けのOffice 365 SoloのほうはOffice 365 Soloを選ぶ人が急激には増えないかもしれないけれどジワジワと増えていきそうな微妙なレベルの値付けと構成にしています。
このあたりのマイクロソフトのさじ加減は何とも上手いなあと思います。
誤解を招くような手法はいかがなものか
Office 365 SoloもOffice Premiumも、商品としては、日本市場のことや関連業者のことをよくよく考えたもので、顧客にとってもまぁ悪くはないかな、といえると感じています。
ただそれを、誤解を与えるようなマーケティング手法で売ろうとするのはいただけません。
「日本のOfficeが変わる」
というコピーの前には、
「パソコンメーカーとマイクロソフトにとって」
と文言が省略されていると私は思っています。
とくにOffice 365サービスに興味のないユーザーからすると
「いや、変わったと言えば、変わったのかもしれないけど...」
という反応になってしまう内容なのです。
折角の悪くはない商品なので、もう少し真摯な売り方をすればいいのになあぁ、とモヤモヤし続けているここ数日です。
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