税理士でMicrosoft MVP for Excelの井ノ上陽一さんが主催しているブログの勉強会で、このブログ「インストラクターのネタ帳」のネタを、私がどうやって探し続けてきたのか、という内容でお話しをさせていただきました。
その勉強会の内容を元にして、3C分析のスイートスポットをみつけるために、
潜在読者・顕在(途上)読者・顕在読者の求めるものを調べる3つのツールを使ってきたということと、この3つのツールでみつかる検索キーワードはウォンツ(表現)であってニーズ(真意)ではないということまで記事にしました。
この3つのツールについて、解説します。
3つのツールの位置づけ
Webサイト・ブログを運営する上で、スイートスポットをみつけるために使えるツールとして、私が最近使っているのは、
goodkeyword.net
Google Analytics
MovableTypeの検索ログ
の3つです。
goodkeyword.netが、潜在読者の求めるものを調べる、3C分析のCustomerが求めるものの概略をつかむツール、
Google Analyticsが、顕在(途上)読者の求めるものを調べる、スイートスポットにかなり近い領域を知ることのできるツール、
Movable Typeの検索ログが、顕在読者の求めているものを調べる、3C分析のCustomerの求めるものの輪の中にある小さな輪の部分を教えてくれるツールです。
潜在読者の求めるものを調べる
goodkeyword.netは、YahooやGoogleで、多くの人がどんなキーワードで検索しているかを教えてくれます。
この手のツールを使ったことのない方は、検索エンジン経由で自分のブログにアクセスしてくれる人が、どんなキーワードで検索しているのかをまずは想像して、そのキーワードをgoodkeyword.netで検索してみるといいでしょう。
そこには、予想外のキーワードも並んでいるかもしれません。
Googleサジェストのほうが、たくさんのキーワードが表示されますので、最初のうちはYahooサジェスト側をチェックすることをおすすめします。
10分程度でいいので1か月程度、毎日、自分のブログの読者が検索しそうなキーワードをgoodekeyword.netで調べていると、どんなキーワードで世の中の人が検索しているのかが、徐々に身体に浸み込んでくるはずです。
顕在(途上)読者の求めるものを調べる
Google Analyticsの検索ログを調べれば、自分のブログにアクセスした人が、どんなキーワードで検索したかがわかります。
私の場合はGoogle AdSenseのログと連動させた、
『キーワードごとのPV』
というカスタムレポートを作って毎日チェックしています。
ここで、Google Analyticsの検索ログには、限界があるということをよく理解しておく必要があります。
ブログ内に存在していないキーワードでは、検索エンジンでは(基本的には)ヒットしないという大原則です。
ブログ内にそもそも存在していないキーワードは、Google Analyticsの検索ログにも(基本的には)出現しないということです。
また、アクセスしてくれた人の求めていたコンテンツが、自分のブログに存在していて、本当に読者と呼ぶことのできる状態に転換したのかどうかも定かではありません。
検索キーワードはウォンツ(表現)であって、ニーズ(真意)と乖離していることがよくあるからです。
そのため、顕在読者ではなく顕在(途上)読者と表現しています。
「キーワードごとのPV」の他には、
『ページタイトルごとのPV』
というカスタムレポートを作り、セカンダリディメンションで、記事ごとの検索ログをチェックできるようにしています。
インストラクターのネタ帳では、時々タイトルを修正することもあるので、「ページタイトルごとのPV」だけでは連続的な調査をできないことがあります。それを補完するために
『URLごとのPV』
というカスタムレポートも使っています。
これらのカスタムレポートで、具体的に、何を、どう見ているのかについては、別記事としてご紹介します。
顕在読者の求めるものを調べる
インストラクターのネタ帳では、Googleの検索機能だけではなく、Movable Typeの検索機能も提供しています。
Google検索では、曖昧な検索ができる変わりに、検索に引っかからない記事も残念ながら存在しています。
それを補完するために、より厳密な検索をしてくれるMovable Typeの検索機能も使えるようにしているのです。
このMovable Typeの検索ボックスは、画面のファーストビューではない位置に、インストラクターのネタ帳で記事をある程度読んだ人が気づくような位置に置いています。
ですから、この検索機能を使う人は、「顕在読者」と言っていい人たちだと考えています。
この検索のログには、検索したキーワードが確実に残ります。
Google Analyticsなどのアクセス解析ツールに残るキーワードと違い、このサイトの中に存在しないようなキーワードで読者が検索したときにもログが残ります。
そのキーワードを参考にした書いた記事は、3C分析のスイートスポットに入っている可能性が、かなり高いと言えるはずです。
Google Analyticsのアクセス解析の重要視は多くの方が説いていますが、Movable Type検索のような独自の検索システムの検索ログの大切さに言及している方はあまり多くありません。
Google Analyticsでは「(not provided)」が増え、検索キーワードがどんどん見られなくなりつつありますから、独自の検索システムの優位性については、もっと強調されていいと考えています。
PDCAサイクルを回す
ブログをはじめて間もない頃、検索を意識しないで記事を書いている頃は、3Cの輪は下図のような状態になっていると思います。
Company(自分)の輪は小さく、Customer(読者)の輪と重なる部分も小さく、むしろCompetitor(競合)と重なる部分のほうが大きいという状態です。もちろん、スイートスポットもほとんど存在しません。
しかし、先の3つのツールを使いながら、検索キーワードと基本のSEOを意識して記事を書き続けていくと、徐々にCompanyの輪が大きくなりCustomerの輪と重なる部分も増えてくるはずです。
少なくとも私の場合は、そうでした。
ニーズからウォンツを推測する力
3つのツールで調査をする段階では、検索キーワードはウォンツ(表現)であってニーズ(真意)ではない、ニーズを推測する力が大切だということは前回の記事で述べました。
推測したニーズから記事を書くフェーズでは、逆にウォンツを意識しなければなりません。
読者がどんなキーワードで検索するのかを意識するということです。ここでgoodkeyword.netで身体に浸み込ませたキーワードが役立ちます。これをやっておかないと、読者が検索で使いもしないキーワードを使って記事を書いてしまいます。
恥ずかしながら、インストラクターのネタ帳の場合、2003年の10月に開始した当初は「エクセル」といったカタカナ表記は一切使わず、「Excel」のようなAlphabet表記に統一して記事を書き続けていました。しかしあるとき「Excel」ではなく「エクセル」で検索する多くの人が存在していることに気づいたのです。
そのときに、Movable Typeのテンプレートを修正して、記事のタイトルやカテゴリー名などに「Excel」と「エクセル」の両方が入るようにする修正を2005年頃に行いました。
この修正を行ったあと、アクセス数は、ほぼ倍増した記憶があります。
検索ログを見るときにはウォンツからニーズを推測する力が必要で、記事を書くときにはニーズ(真意)がどんなウォンツ(表現)になるのかを推測する力が必要ということです。