給与所得者の所得計算についてご紹介してきています。
納税者に扶養している親族がいる場合に控除を受けることができます。これが扶養控除です。
扶養控除額計算に関係するのは、源泉徴収票の「扶養親族の数(配偶者を除く)」欄などです。
まず、扶養控除額の基本額は、親族一人当たり38万円です。
扶養親族の年齢や住み方などの条件によって、この38万円に加算が行われます。
16歳以上23歳未満の人を「特定扶養親族」と呼び、通常の扶養控除に25万円加算した、63万円が控除されます。
16歳以上23歳未満というのは、一般的に高校・専門学校・大学などに進学している年齢であり、特に教育費がかかるため、家計援助の意味から控除される額が大きくなっています。(ちなみに、扶養している親族が16歳以上23歳未満であれば、進学せずニートや家事手伝いの状態であっても控除を受けられます。)
源泉徴収票の「扶養親族の数(配偶者を除く)」−「特定」欄の「人」のところに記述される人数が特定扶養親族です。
扶養親族のうち、70歳以上の人を「老人扶養親族」と呼び、通常の扶養控除に10万円加算した48万円が控除されます。
扶養親族のうち、納税者やその配偶者の父母や祖父母など直系尊属で常に同居している70歳以上の人を「同居老親等」と呼び、通常の扶養控除額に20万円加算した58万円が控除されます。
源泉徴収票の「扶養親族の数(配偶者を除く)」−「老人」−「内」欄に、同居老親の人数、「人」の表記のある欄に同居老親等を除いた老人扶養親族の人数を記載します。
これら扶養親族の年齢などの判断を、Excelへの入力前に行うことにすれば、扶養控除額の計算は、単純な掛け算と足し算だけで済みます。
※C12セルに特定扶養親族、C13セルに老人扶養親族(同居老親等以外の人)、C14セルに老人扶養親族(同居老親等)、C15セルにその他の親族(一般の扶養親族)の人数を入力するときに、D16セルに扶養控除の額を計算する例 D16セルに
「=C12*630000+C13*480000+C14*580000+C15*3800000」
という数式を入力する
特定扶養親族・老人扶養親族・同居老親等・一般の扶養親族の控除額に、該当する人数をそれぞれ掛け算して合計すれば、扶養控除額は計算できます。
▼サンプルファイル(003424.xls 46KByte)ダウンロード
サンプルファイルの「5.扶養控除」シートに上記の例を作成してありますので、ご確認ください。
「1.年調給与額」「2.給与所得」「3.配偶者控除」「4.配偶者特別控除」シートはこれまでご紹介してきた例をそのまま残してあるものです。
なお、
このネタはこのネタは、あくまでも「平成20年分 年末調整のしかた」に準拠して記述しています。
扶養控除は、配偶者控除とともに、民主党が子供手当と引き換えに廃止する方向で検討している所得控除の一つです。非常に近い将来、本当に扶養控除はなくなるかもしれません。
もしかしたら、控除額を減額した時期を数年はさむかもしれません。
そのような場合、この計算式は削除したり修正の必要があるということをご了承ください。
ちなみに私、民主党の政策にはなんだかなあというものも多々あり、諸手をあげて民主党賛成なんてことはありませんが、子供手当・学費補助などの制度を設けて所得税の扶養控除を廃止するのはいいことと思っています。
税制の中にサポート的な政策機能を入れると、その効果を測定しにくくなったり、本当に必要な層にサポートがまわらないといったことも起きやすくなってしまいます。税制はシンプルにして政策実行機能はできるだけ減らして、各種サポートは税制ではなく別の制度で行うほうがいいと考えているからです。
その意味で、他の各種所得控除も、本当にサポートの必要な部分は別の制度を設け、所得控除は廃止していくほうがいいと思います。
所得税の重税感は増すことになりますが、その分行政サービスの監視機能も強く働くことになるでしょうし、適切なサービス・サポートを受けられる場合には、その意義を実感しやすくなると思うのです。少なくともこれまでのいろんなものが見えにくい制度よりも。
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