給与所得の計算についてご紹介してきました。
所得税は、所得額から所得控除をマイナスした額に対して課税されます。
ですから、所得額計算の次は、所得控除額の計算を行う必要があります。実際の源泉徴収票でいうなら「所得控除の額の合計額」の計算をしなければなりません。
所得控除には以下のような14種類があります。
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 勤労学生控除
- 寡婦・寡夫控除
- 障害者控除
- 基礎控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄付金控除
考え方としては、配偶者が働いていないときには所得から控除してあげようというもので、配偶者が専業主婦・専業主夫の方にとって、おいしい控除です。
ちなみに、、民主党の中には子ども手当(児童手当)の支給など子育て支援策を充実するかわりに、配偶者控除をなくそうという考えの方もいらっしゃるようです。
(私個人は、民主党の政策すべてに賛成というわけでは決してありませんが、複雑すぎる所得税制度をシンプルにするため、働く意思を少しでも妨げる要因を排除するという点から、子育て支援策と引き換えに配偶者控除を廃止するのは悪くないと考えています。)
配偶者控除額は、
- 配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合に38万円
- 配偶者の合計所得金額が38万円以下で、なおかつ配偶者が12月31日現在70歳以上のときには48万円
これをExcelの数式にします。
※C6セルに控除対象配偶者の有無等を「無」「有」「有(老人)」と入力し、C7セルに配偶者の合計所得を入力するときに、D8セルに配偶者控除の額を計算する例 D8セルに
「=IF(AND(C6="有",C7<=380000),380000,
IF(AND(C6="有(老人)",C7<=380000),480000,0))」
という数式を入力
12月31日現在70歳以上の配偶者を「老人控除対象配偶者」と呼びますので、該当する場合に上記の例では「有(老人)」を入力するようにしています。(「老人控除対象配偶者」という呼び方って、個人的にはなんだかなあという気分になりますが。。)
そもそもの条件が、
控除対象配偶者が存在しないときは0円
配偶者の所得が38万円以下の場合に38万円
配偶者の所得が38万円以下でなおかつ配偶者が70歳以上のときには48万円
という冗長なものであるために、この数式は様々な書き方が可能になってしまいますが、ここでは条件をそのままExcelの数式にした例をご紹介しておきます。
上記の例では改行とスペースでインデントを入れていますが、
「=IF(AND(C6="有",C7<=380000),380000,IF(AND(C6="有(老人)",C7<=380000),480000,0))」
でももちろん同じことです。
外側のIF関数
「IF(AND(C6="有",C7<=380000),380000,」
が、70歳未満の控除対象配偶者がいるときに配偶者控除額を38万円とする部分
中側のIF関数
「IF(AND(C6="有(老人)",C7<=380000),480000,」
が、70歳以上の控除対象配偶者がいるときに配偶者控除額を48万円にする部分
中側のIF関数
「IF(AND(C6="有(老人)",C7<=380000),480000,0」
の最後の「0」が、その他の場合を「0」としている部分です。
▼サンプルファイル(003379.xls 45KByte)ダウンロード
サンプルファイルの「3.配偶者控除」シートに上記の数式が入力してありますのでご確認ください。(「1.年調給与額」「2.給与所得」シートはこれまでご紹介したワークシートをそのまま残してあるものです。)
C6セルのドロップダウンリストは、[データの入力規則]ダイアログ−[設定]タブで設定して表示されるようにしています。
国税庁のタックスアンサー「配偶者控除」では、配偶者が障害者であった場合も記述されていますが、源泉徴収票では、その他の扶養親族と合わせて障害者の数を記入する欄が設けられていますので、このサイトでは源泉徴収票ベースで考え、配偶者控除額の計算では配偶者が障害者であったときの計算は考慮していません。
このネタは、あくまでも「平成20年分 年末調整のしかた」に準拠して記述しています。将来、所得税法関連法規が変更になった場合、上記の数式も変更しなければならない可能性が高いことをご理解ください。
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