給与所得者の所得計算についてご紹介してきています。
配偶者控除だけが存在していると、例えば、パートタイムで働いている妻の所得が、年間38万円(給与収入に換算すると103万円)を超えたとたんに、その妻を配偶者としている夫の所得税負担が急激に重くなってしまいます。
この急激な税負担の変化を緩和する役目を持っているのが配偶者特別控除です。
配偶者控除を補完するような意味を持った配偶者特別控除ですから、子ども手当創設と引き換えに、配偶者控除を見直すとしている民主党が政権を担当する場合、配偶者特別控除も当然見直される(廃止される)と推測されます。
納税者(妻がパートで働いているのなら、その夫)の所得が1,000万円以下で、配偶者(パートで働いている妻)の所得が38万円から76万円・給与収入に換算すると103万円から141万円のときに、配偶者特別控除は受けられます。
控除できる金額は、配偶者の所得によって9段階に分類されています。
配偶者の所得がいくらのときに、いくらの配偶者特別控除を受けられるかは、年末調整の手引きのP.75の配偶者特別控除の早見表に明示されています。
Excelで配偶者特別控除額を計算するには、この表の関係と、納税者自身の所得が1,000万円以下のときに摘要されるということを数式にすればいいわけです。
※J3:K13セルに配偶者の合計所得と控除額、C7セルに配偶者の合計所得、D4セルに給与所得控除後の給与等の金額、C6セルに「無」と入力されているときに、D9セルに配偶者特別控除額を計算する例 D9セルに
「=IF(AND(D4<=10000000,C6="無"),VLOOKUP(C7,J3:K13,2),0)」
という数式を入力する
実際に配偶者の合計所得から配偶者特別控除額を取得しているのは、
「VLOOKUP(C7,J3:K13,2)」
の部分です。
このVLOOKUP関数部分についてはVLOOKUP関数がわかれば特に問題ないでしょう。C7セルに入力された配偶者の合計所得をキーにして配偶者特別控除の早見表(J3:K13セル)から、2列目の控除額を取得しています。
配偶者特別控除を受けるには、納税者の所得が1,000万円以下という条件があります。また、実務上配偶者特別控除を受ける場合、源泉徴収票の「控除対象配偶者の有無等」の欄は「無」を選択することになるために、この2つを先のVLOOKUP関数を呼ぶ条件としています。
これが
「=IF(AND(D4<=10000000,C6="無"),」
の部分です。
AND関数を使って「D4<=10000000」と「C6="無"」とをアンド条件にしています。
ちなみに配偶者特別控除を受ける際、源泉徴収票の「控除対象配偶者の有無等」の欄は「有」にするとしているWebページ等も見かけますが、上野税務署に電話確認したところ「無」との回答でしたので、ここでは「無」としています。
▼サンプルファイル(003411.xls 51KByte)ダウンロード
サンプルファイルの「4.配偶者特別控除」シートに上記の例を作成してありますので、ご確認ください。
なお「1.年調給与額」「2.給与所得」「3.配偶者控除」シートはこれまでご紹介してきた例をそのまま残してあるものです。
ちなみに、配偶者特別控除と配偶者控除は、平成15年(2003年)までは両方受けることができていましたが、平成16年(2004年)からは両方受けるということはあり得なくなりました。
これは平成15年までは、配偶者控除に配偶者特別控除が上乗せされた部分がありましたが、平成16年から上乗せ部分がなくなったためです。
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